⑫ 試合時間が長い(人生の縮図)
では具体的に説明しましょう。
今回は「球技の恩恵」「道具を使う」についてです。
スポーツは「クローズドスキル」系と「オープンスキル」系とに大きく分けられます。「クローズドスキル」と言うのは直訳すれば“閉ざされた技術”であり陸上競技、水泳、重量挙げなどのように身体能力を極限まで磨き単純に速さや距離、力などを競う種類のものと、体操やフィギュアスケートなどのように形の美しさやどれだけ正確にできるか(再現性)つまり決められた動きを徹底的に絞り込んでいって精度を高めるといった要素の多いものに分けられます。
そしてもう一方の子供にお勧めの「オープンスキル」は、球技、アウトドア、格闘技などのようにいろいろな状況の変化に対応できるように技術の幅を広げ、その中で自分のもてる力をどのように使っていくかという判断力と決断力と創造性と工夫が必要になるものです。つまり頭を使う要素の多いスポーツです。中でも球技は“瞬時”にそれらを使うためかなりの脳活性が期待できます。
テニスについては、さらに、「道具を使う」の要素が加わるため、手と打点までの距離、面の向き、力加減、道具をもつためのバランス矯正などの多くの調節による脳への刺激が追加されるのです。“人間は道具を使い始めて急激に進歩した生き物”って考えるといいかもしれません。細かくなりすぎましたが、簡単に言うと、ラケットスポーツは子供の時期に必要な脳への刺激がたいへん多いのが特徴で、他のスポーツよりも頭の回転が良くなる要素が多いと言うことです。
「動体視力」と「脳の能力」の相関性も最近よく聞きます。動体視力が良いと言うことは脳の処理スピードが速いということです。240kmものスピード、バウンドやスピンによるボールの軌道変化、こんなボールについていく目って実は脳がすごいのです。ボールを扱うスポーツのよさが解りますね。
次回はテニスがもたらす人間関係の多様性をお伝えできればと思います。